東京都は10月29日、女性特有の健康課題への理解を広げるため、「WOMAN EXPO 2026 Winter」への出展と、企業関係者向けオンラインセミナーを発表しました。会場企画は11月28日に東京ミッドタウン・ホールで実施し、男性向けオンライン企画は12月14日に配信予定です。健康への理解を、働き続けやすい職場環境につなげる取組になります。

都は7月に女性活躍推進条例を施行し、女性特有の健康課題に配慮する職場づくりを進めていると説明しています。今回の案内は、その一環として働く人や経営者、管理職、人事・労務担当者に情報を届けるものです。催しの開催だけで、すべての企業に同じ休暇制度や費用補助が新設されるわけではありません。

11月28日の出展時間は午前10時から午後5時30分で、会場は港区赤坂の東京ミッドタウン・ホールです。ブースではヘモグロビンなどの簡易測定と専門職の助言を予定しています。会場セミナーは午後1時45分から2時25分まで、更年期に関するセルフケアと対処をテーマに扱う予定です。

会場とオンライン、二つの入口を読み分ける

会場セミナーの申込受付は10月29日午後2時からイベント当日までで、定員180人に達すると終了します。当日までという期限があっても、席が確保されているとは限りません。参加を希望する人は、イベント公式ホームページで最新の受付状況と参加方法を確認する必要があります。

会場セミナーでは、山本舞衣子フリーアナウンサーが司会を務め、佐藤雄一医師と細川モモ予防医療・栄養コンサルタントが講師として案内されています。登壇者や内容は主催者の最新情報が基準です。この記事は実施前の予定を紹介しており、講演でどのような説明がされたかを報告するものではありません。

男性向けオンラインセミナーは12月14日午後6時30分から1時間程度を予定し、後日のアーカイブ配信も案内されています。経営者、管理職、人事・労務担当者などを対象に、女性の健康課題を経営の課題として考える内容です。生理や更年期の悩みに向き合った企業の取組も紹介する予定です。

オンラインの申込期間は10月29日午後2時から12月11日までで、定員は500人です。配信日の3日前が申込期限となるため、会場企画と同じく当日まで申し込めると考えないことが必要です。定員に達した場合も受付が終わるため、日付と人数の両方が条件になります。

知識を得ることと、本人の状態を決めつけることは違う

職場で健康課題を学ぶ意味は、症状を外から判定することではありません。同じ年代や性別でも、困りごとや必要な配慮は人によって異なります。一般的な知識を得た後も、本人が何を相談したいかを聞く手順が欠かせません。年齢だけで仕事の能力や体調を推測する使い方は避ける必要があります。

簡易測定の体験も、自分の健康に関心を持つ機会として位置付けて考えることが大切です。その場の測定だけで病気の有無を確定したり、医療機関の診察を置き換えたりすることはできません。個別の症状や検査結果の解釈は専門家に確認する問題で、この記事から診断や治療方法は示しません。

企業がイベント参加を呼び掛ける際には、参加する人に健康上の悩みがあると推測されないようにする視点があります。誰がどの企画を見たかを必要以上に管理すると、情報を求めること自体が負担になる場合があります。周知を行うことと、個人の状態を会社が把握することは分けて考えたいところです。

男性向け企画が設けられる背景には、健康への理解を当事者だけの課題にしない意義があります。業務の割り振りや評価を担う人が、相談を受ける立場として考える機会になります。ただし、学習した人が個々の従業員の体調を代わりに判断するという役割ではありません。

職場では、相談の先にある手順が重要

理解を深めても、相談先が曖昧なままだと働き方の調整につながりにくくなります。直属の上司に話しにくい場合の窓口、誰まで情報を共有するか、対応の検討にどの程度時間がかかるかなど、実務の手順を整理する必要があります。これは特定の疾病に限らず、相談を受ける仕組みの課題です。

人事担当者と現場管理者が見るべき情報も、必ずしも同じではありません。業務上必要なのは、勤務時間や作業の調整などの条件であり、診療内容の細部まで広く共有する必要があるとは限りません。社内の規程と本人の意向を確認し、共有する範囲を決めることが大切です。

仕事の調整では、本人の負担と同僚の負担の両方を見える形で考える必要があります。一人の善意で代わり続ける方式では、支える側にも負荷がたまります。作業の引継ぎ、担当の複数化、休憩や会議の組み方など、職場全体の運用として検討できる点があります。

本人の希望を聞かずに重要な仕事から外すことも、配慮と同じではありません。責任のある役割を続けたい人、短期間だけ負担を減らしたい人など、希望は異なります。調整後にも見直しの機会を持ち、体調の変化とキャリアの希望の双方を確認することが必要になります。

家計への意味は、制度の有無と使いやすさにある

働き方を調整する場合、賃金や勤務時間への影響は本人と家族の生活に直結します。使える休暇があるかだけでなく、有給か無給か、取得に必要な手続きは何かを確認しなければ、安心して使えるとは限りません。今回の催しで、個別企業の制度の取扱いが一律に決まるわけではありません。

通院や健康管理のために時間を確保しやすい職場であっても、そのことが評価や昇進にどう関わるか分からなければ、相談をためらう可能性があります。制度の説明と人事評価の運用が食い違っていないかを点検することが、参加後の具体的な課題になり得ます。

家族との間でも、本人の体調についてどこまで説明するかは意向を尊重する必要があります。家事や育児の分担を見直す際は、健康の話題を一人の責任に集中させず、今の生活で困る作業や時間帯を具体的に話す方法があります。イベントの一般的な情報を、本人を説得する道具として使わないことも大切です。

今回の案内から、参加によって医療費が下がる、欠勤が必ず減る、企業の利益が増えるといった効果の数値は確認できません。普及啓発の意義と、効果の検証は別の段階です。企業が取組を始める場合も、参加人数だけでなく、相談しやすさや運用上の改善をどう確かめるかが課題になります。

小さな職場にも持ち帰れる視点

専門の人事部門がない事業所では、担当者を増やすことが難しい場合があります。それでも、相談を聞く時間を確保する、急な調整が必要なときの連絡先を決める、仕事の手順を残すといった検討は可能です。すべてを大きな制度改定から始めなければならないということではありません。

外部の相談資源を利用する場合も、従業員が自ら情報を得られる入口を示すことと、会社が相談内容を回収することを区別したいところです。安心して情報を探せる環境があるかは、健康の理解を実際の支援につなぐ条件になります。どの窓口が利用できるかは、各事業所と居住地の案内を確認します。

オンライン企画は、会場への移動が難しい人にも情報を届けられる利点があります。ただし、12月14日の配信は夕方以降の予定です。勤務中の研修として扱うか、自主的な視聴として案内するかで参加のしやすさは変わります。企業は受講の目的と時間の扱いを事前に説明することが役立ちます。

今後は受付状況と配信の詳細を確認

現時点で未確認なのは、残席、各体験プログラムの当日の運用、アーカイブの具体的な視聴条件などです。会場全体の参加案内と都のセミナーの申込条件が一致するとは限らないため、企画ごとの公式ページを確認する必要があります。過去の開催情報を今回のものとして使わない注意も必要です。

都は2027年2月16・17日に東京で開催される人事関連イベントへのブース出展も予定しており、詳細は今後案内するとしています。こちらの内容や参加条件が発表された場合は続報の材料になります。今回の記事では、予定と実施済みの取組を区別して扱います。

参加後の共有は、個人の体験を求めない形でもできます

職場で学習内容を共有する場合、受講者に自身の体調や家族の経験を発表してもらう必要はありません。相談窓口の案内、制度の読み方、仕事の引継ぎで困る場面など、業務の仕組みを題材に話す方法があります。一般的な学習の場と、個別の相談の場を分けることが安心につながります。

また、セミナーで知った言葉が、相手の状態を決めつける呼び方にならない注意も必要です。本人が話していない事情を周囲が説明して回ると、働きにくさを増やす場合があります。情報を得た人が何を話すかだけでなく、何を本人に確認してから扱うかも、職場の理解を深めるうえで重要です。

出典:東京都産業労働局「WOMAN EXPO 2026 Winterに出展します」(10月29日公表)。https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/10/2026102915
写真は職場環境のイメージで、会場や測定の実施風景ではありません。

まとめ
東京都は11月の会場企画と12月のオンライン企画で、女性の健康課題への理解を広げます。参加の期限と定員を確かめ、得た知識を本人の意向を尊重する相談体制や仕事の調整につなげることが重要です。