東京都は10月28日、11月12〜25日の「女性に対する暴力をなくす運動」に合わせ、都庁などの紫色のライトアップと、都内の高校1年生への啓発カード配布を行うと発表しました。都によると、昨年度の都内の配偶者等暴力相談は5万7000件以上で、10年連続で5万件を超えています。周知を、被害に気づき相談先につながる機会にできるかが課題です。

この相談件数は、相談窓口で受け付けた件数についての情報です。同じ人が複数回相談する場合も考えられるため、そのまま被害者の人数と読むことはできません。一方、窓口に相談していない人の状況まで表す数字でもありません。大きさに驚くだけで終わらず、相談が必要なときに使える経路を知ることが、この発表を暮らしに結びつける第一歩です。

紫色の光に込めた呼びかけ

ライトアップは、暴力根絶の象徴であるパープルリボンにちなむ取組です。都庁第一本庁舎や隅田川の橋、文化・スポーツ施設などが対象に挙げられています。ただし、施設ごとに実施日と時間が異なります。運動期間中、すべての施設が毎晩同じ時刻に点灯するという案内ではありません。見に行く場合は、公式発表の日程表で確認する必要があります。

街の風景を通じた啓発は、相談するかどうかをまだ決めていない人にも情報を届ける方法の一つです。しかし、光を見た人の数と支援につながった人の数は同じではありません。取組の成果を考えるには、相談先の案内が届いたか、相談後に必要な支援へ接続できたかといった別の観点が必要です。現時点で今年の効果を数字で示すことはできません。

今回の発表では、若い世代に向けてデートDVの知識と相談先を知らせるカードを、都内の全高校1年生に配布するとしています。交際相手との関係について、家庭の問題や大人だけの問題だと考えてしまうと、支援に関する情報を受け取りにくくなります。学校で共通の情報に触れることは、自分や友人の状況を考える入口になります。

カードを渡すだけで、本人が安心して相談できるとは限りません。教職員や周囲の大人にとっては、相談を受けたときの連絡先や学校内の対応を確認することも大切です。誰にでも話してよい情報なのか、どこまで本人が共有を望んでいるのかを丁寧に扱う必要があります。授業や集会で個人の体験を発表させることが、啓発の目的になるわけではありません。

相談先を、利用できる時間と一緒に知る

都の発表には、東京ウィメンズプラザのDV専用相談として03-5467-1721が掲載されています。受付は毎日午前9時〜午後9時で、年末年始を除きます。相談先の名称だけを覚えるより、使える時間を合わせて確認することが実用的です。問い合わせる際には、最新の受付案内も確認してください。

同じ発表では、DV専用のLINE相談「ささえるライン@東京」も案内されています。受付は毎日午後2時〜8時で、年末年始を除きます。電話と文字による相談では利用しやすい場面が異なります。自分が落ち着いて話せる時間や使える手段を選ぶために、選択肢があることを知っておく意味があります。

一方、相談の記録が端末に残ること自体を心配する人もいます。共有のスマートフォンや家族が確認するアカウントなど、利用環境によって事情は違います。安全な連絡方法に不安がある場合は、その不安も相談先に伝えることが考えられます。周囲の人が善意で一方的に登録や連絡を進めると、本人の状況に合わない場合があります。

運動期間は相談を始めるための唯一の期間ではありません。11月の開始を待って耐えるよう求める発表ではなく、日頃から利用できる相談先の周知も含まれています。現在危険が差し迫っている場合には緊急の通報が必要になることがあります。啓発行事の参加申込と、いま安全を確保するための連絡を取り違えないことが大切です。

家計や住まいと切り離せない問題

暴力の問題を、本人がすぐ離れるかどうかという二択だけで捉えると、相談のハードルを高めるおそれがあります。住居、収入、子どもの学校、仕事、介護など、暮らしの条件は互いに関わっています。これは特定の相談者の事情を示すものではなく、支援の入口を考える際の一般的な視点です。選択を急がせず、必要な情報を整理できることが重要になります。

家計に関する不安がある人にとっては、相談したら直ちに転居しなければならないのか、仕事はどうなるのかといった疑問も生まれます。今回の発表だけから、すべての人に同じ金銭給付や住宅支援が適用されるとはいえません。利用可能な支援は状況や制度ごとに異なるため、窓口で個別に確認する必要があります。

子どもがいる家庭では、保護者自身の安全と子どもの生活を同時に考える必要が生じる場合があります。学校への連絡や送迎の変更なども、人によって必要な対応が違います。この記事で一律の行動計画を示すことはできません。本人の意思と安全を踏まえ、専門の相談先とともに次の手順を検討できる環境が求められます。

職場でも、相談者が何を話すかを自分で選べることが大切です。遅刻や欠勤の背景を、周囲が勝手に家庭の問題と決めつけることは避けたいところです。相談を受けた担当者が情報の共有範囲を確認し、業務上の配慮と私生活に関する情報の扱いを整理することは、本人が働き続ける条件を考えるうえで役立ちます。

周囲の人ができることを考える

友人や同僚から話を聞いた場合、すぐに相手方へ抗議したり、二人を会わせて話し合わせたりすればよいとは限りません。本人の意向や安全を確かめずに動くことで、状況が悪くなる可能性もあります。解決役を引き受けようとするより、話を否定せず、本人が望む支援につながるための情報を一緒に探す姿勢が重要です。

「なぜ早く相談しなかったのか」という問いかけは、相談するまでの事情を見落とすことがあります。家庭の経済、周囲への心配、相談内容が広がることへの不安など、言い出しにくさは人によって異なります。相談することを評価や詮索の対象にせず、話せる範囲を尊重することが、次の相談につながりやすい関係をつくります。

学校や地域で啓発資料を紹介する際には、特定の家庭や生徒を例として取り上げない工夫も必要です。個人の経験が周囲に知られることへの不安があれば、情報を受け取ること自体を避けてしまうかもしれません。相談先を誰でも持ち帰れる形で示し、必要な人だけが目立つ構成にしないことも、配布の現場で考えられる点です。

暴力をなくすという目的を、被害を受ける側だけの対応に置き換えないことも大切です。都は11月15日にDV防止講演会を予定し、暴力をふるう側に求められることを扱うと案内しています。開催時間は午後1時30分〜4時です。参加方法や実施形態などの詳細は別紙で確認する必要があり、この記事では申込の成立を保証しません。

統計と今後の取組をどう確認するか

相談件数の推移を読むときには、窓口の範囲、集計期間、相談手段の変化などを確認する必要があります。件数が多いことを理由に、啓発が失敗したと即断することもできません。窓口を知る人が増えたことで相談しやすくなる可能性もあるからです。逆に、件数が減っただけで被害そのものが減ったとも断定できません。

今年の運動の実施状況については、予定どおりの開催、カード配布、相談先の案内変更などを続報の確認点とします。相談の受付体制が変わる場合は、行事の写真以上に実用性の高い更新となります。支援の効果や被害の実態について新たな統計が出れば、その定義を確認したうえで取り上げる必要があります。

都内全体への周知と、個人の安全な相談は、必要な情報の細かさが異なります。大きなメッセージが社会に届くことと、一人ひとりが利用できる支援が見つかることの両方が重要です。家族や知人とニュースを共有する場合も、本人に事情を尋ねるためではなく、困ったときの選択肢を広げる情報として扱いたいところです。

広報に触れた人が、必ず自分の経験を語る必要はありません。資料を読むだけ、相談先を控えるだけという受け取り方もあります。周囲の人は反応が小さいことを無関心と決めつけず、必要なときに再び情報へたどり着けるようにすることが大切です。啓発に参加する方法を一つに狭めないことが、情報の届きやすさにつながります。

相談先を紹介する紙や掲示にも、更新日が分かると役立ちます。受付時間が変更された資料を長く使い続けると、連絡できない経験が次の相談をためらう理由になる場合があります。学校や職場で案内を保管する担当者は、公式ページと定期的に照合することが考えられます。伝える内容の正確さも支援の入口を支える要素です。

写真はテーマに関連するイメージです。発表対象の建物・店舗・参加者そのものを写した写真ではありません。

出典は、東京都生活文化局の10月28日発表です。相談先と受付時間、ライトアップの日程は公式ページの案内を確認してください。生活や職場での留意点は編集部による整理で、個別事案への法的判断や、特定の支援が必ず受けられるとの説明ではありません。

https://www.metro.tokyo.lg.jp/ja/information/press/2026/10/2026102817

まとめ

東京都は11月の運動期間に合わせ、ライトアップと高校生への啓発カード配布などを予定しています。相談件数を被害者数と混同せず、本人の意思と安全を尊重しながら、使える相談先を具体的に知ることが大切です。